ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2009年7月5日日曜日

インフルエンザに関する身近なお話

 今日は、身近なお話をブログに書き込むことにしました。「すてきな奥さん(主婦と生活社)」9月号、(8月1日発売)でも、詳細を監修します。

●ためになるであろうQ&Aです。
(1) 新型インフルエンザが世界的に流行しているから、海外旅行、海外への出張は、中止にした方がいい?→これには、賛否両論があるようですが、国際的には間違いのようです。6月18日のWHO事務局長の発言でも、「警戒水準の引き上げに当たって、渡航制限、旅行、企業活動自粛など人やモノの移動を制限する措置が必要のないこと」を説明しています。
(2) 熱がそんなに上がっていないから(たとえば37、7度)、インフルエンザではない?→熱だけでは判断できず、熱があまりあがらないインフルエンザのこともあります。
(3) 風邪ぐらいで仕事を休むなと職場の上司に言われました。がんばって仕事に行くべき?→これは、大きな間違いです。休むべきです。今回の新型インフルエンザの騒動を契機に、職場でも、無理して出勤しない。それぞれの人が、病気で欠勤した場合の対策を考えておくことが肝要かと思います。
(4) タミフルとリレンザ、どっちがいい?→まだどちらがよいか、はっきり立証されていません。しかし、タミフルが効きにくい新型インフルエンザもわずかに発見されつつあり、その場合にはリレンザが主役になります。
(5) 熱が下がっても念のため薬は飲み続ける?→熱が下がっていても、感染力がなくなったとは言えませんので、医師の指示に従うべきです。
(6) 新型インフルエンザもワクチン予防すれば問題ないんでしょ?→従来の季節性インフルエンザでも、予防接種(ワクチン)の効果は70から90%で、限界があります。新型についても、今後の成績を見なければわかりませんが、ワクチンをうったから大丈夫ということは、ありません。ワクチンをうった上で、様々な予防法が重要です。
(7) 若いからインフルエンザなんて病院にいかなくって自分で治せる?→新型インフルエンザは、若い人ほどかかりやすいことが立証されつつあります。理由ははっきり分かっていませんが、大人は、このウィルスに近いウィルスに幼少時に暴露され、抗体を有している可能性が指摘されています。ですから若い人ほど、医療機関での診断、治療が必要となります。

●秋冬には、季節性インフルエンザ、新型インフルエンザの両者の患者数が激増することが予想されます。すなわち、気温が低くなり、かつ空気が乾燥すること(10℃前後で、乾燥した環境でウイルスが繁殖しやすい)によるものです。また、将来的には変異する可能性(弱毒性から強い毒性に変わること)も、否定できません。しかしながら、タミフルに効かないインフルエンザが出てきても、リレンザや現在開発中の薬などまだまだ対応は可能と思います。最後に、以前のブログでも記載しましたが、インフルエンザの予防法を書きます。
(1)栄養と休息を十分にとって免疫力、抵抗力を高めること。(バランスのよい食事、十分な栄養、睡眠をとること)。(2)咳をしている人の近くにずっといない。近づいたらと思ったら、早めにうがい、手洗い、歯磨きをする。(3) 加湿器などを使用し、湿度を50%以上に保つ。(4) 予防接種をうける。従来の季節性インフルエンザでは、70から90%の方に効果があったようです。新型インフルエンザについても、作成が始まっていますが、投与開始は、秋以降のようです。