ようこそ医療ジャーナリスト・医学博士、森田豊の公式ブログへ。

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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2011年3月29日火曜日

フジテレビ、新企画

フジテレビ、特番、間違いだらけ!?あなたの健康ジョーシキ(2011年4月1日1:35~3:05)にスタジオ出演します。医学全般に関する常識の是非について、池谷敏郎先生、小林暁子先生、平石貴久先生らとともに、楽しく、ユーモアいっぱいで、学習していく番組です。ゲストは、大島麻衣さん、高田延彦さん、ピースさんら、ビビる大木さん、真鍋かをりさん、森公美子さんで、医師4人が、厳しい質問や、指摘を受けながらも、楽しく解説していく番組になりました。私の印象として、番組で重要なキャラを示したのが、福井謙二フジテレビアナウンサーです。かなり笑えます。大震災の後での番組ですが、日本全体がストレスで病んでいる中、少しでもこういった番組でなごんでもらえるのを願う次第です。

2011年3月24日木曜日

東京の水道水からの放射性物質のこと(ザ・ゴールデンアワー)

昨夜は、東京の水道水の放射性ヨウ素の測定値が、210ベクレルと高値を示し、大人の基準値である300ベクレルを下まわるものの、1才未満の乳児の基準値である100ベクレルを上回ったことについて、概説をしました。これは、すぐに健康を害する量ではなく、長期にわたり飲んだ場合の健康への影響を考慮して設定したものであること、1才未満の乳児には水道水を控えた方がいいが、代わりとなる飲料水がない場合には、水道水でも短期的には健康上問題ないこと、生活用水としては、全く支障がないことなどです。
 今夜はそれに引き続き、日本産科婦人科学会からの妊婦・授乳中女性に対する水道水の案内について、概説しました。
●日本産科婦人科学会からの案内(抜粋)を紹介しました。
(1)現時点では、妊婦・授乳女性が水道水を連日飲んでも、母体・赤ちゃんに健康障害は起こらないと推定される。しかし、胎児は被曝の影響をうけやすいので、水道水以外の飲み水を利用できる場合には、それらを飲むことを勧める。
(2)放射線物質の含む水道水を、妊娠期間中(最終月経開始日から分娩まで280日間)、毎日1リットル、仮に飲んだ場合の妊娠女性の総被曝量は、1.2ミリシーベルト
(3)お腹の赤ちゃんに悪影響がでるのは、赤ちゃんの被曝量が、50ミリシーベルト以上の場合
(4)母乳から出てくるヨウ素は、母体の摂取した量の4分の1程度と推定される
●このような具体的な数値をあげての説明は、一般の方々にわかりやすく、説得力のあるものであることを強調しました。
●また、番組では、震災によるメンタル面でのケアなどについても、大島希巳江先生と共にお話させていただきました。

2011年3月22日火曜日

農作物からの放射性物質のこと(ザ・ゴールデンアワー)

東京メトロポリタンテレビジョン、ザ・ゴールデンアワーで、今夜、お話した内容は以下の通りです。
ここ数日前から、農作物より基準値を超える放射性物質が検出され、昨夜、首相の指示で、福島県、茨城県、栃木県、群馬県からのホウレンソウ、カキ菜、福島県からの原乳の出荷制限が決まりました。官房長官は、仮に口に入ったとしても、ただちに健康に影響を及ぼすものではない、としたうえで、万が一、中長期に継続した場合に備え、今から規制をかけた、としています。これを、自分なりに検証してみました。
(1)ここ数日で、食品に見られた測定値というものは、確かに基準値にくらべて、はるかに高い値で、これだけを見ると怖い印象があります。しかしながら、専門家らの話を検証すると、現在の放射線量は、人体にまったく影響のない数値として、過剰な反応はすることはないようです。特に、店頭で並ぶものは、心配ないのです。たとえば、現在の放射性物質の量だと、100グラムのホウレンソウを4200回食べないと人体に影響を及ぼさない量です。さらに今回放射線がみつかった牛乳を1年間摂取した場合の被曝量は、CTスキャン1回分と説明することができます。
(2)なぜこのような厳重な対応をしたかというと、原発から、まだ煙がでたりと、コントロールにまだ見通しがたっていないので、長期化を想定したうえでの厳重な対応と思います。
(3)心配なのは、風評被害です。ホウレンソウ、カキ菜、牛乳以外のものも、これら4県からの農作物などは、入荷しない、食べないといった風評となる恐れがあります。心理的にそのような風評になる気持ちはわかりますが、パニックしないことです。今後の解決策としては、自治体や国は、その他の農作物の安全性を日々、確認し、正確に保証しなければならないと考えます。可能ならば、店頭で並ぶ農作物には、放射線に関する品質表示も検討してもらいたいです。
(4)都民のできることは、政府など正しい情報には従いますが、間違った風評には惑わされないようにして、どうしても、気になる方は、野菜を、煮るとか、水洗いや、などの方法を行ったらよいかとも思います。食品を加熱処理しても、放射線は影響をうけませんが、加熱の方法として、煮た後に煮汁を捨てて食べることは、周囲についた放射線を取ることができます(約3分の1になるとのことです)。また、水洗いできるような野菜であれば、水溶性の表面汚染を落とせることがあります。

ザ、ゴールデンアワー


本日から4日間、9チャンネル、ザ、ゴールデンアワー(TOKYO MX TV)、夜9時~10時に、スタジオ生出演します。おもに、地震関連のお話になります。

2011年3月18日金曜日

大地震のこと、(日本テレビ、DON!、その2)

3月15日火曜に引き続き、本日、日本テレビ、DON!の大震災関連番組に出演しました。
「大震災発生から一週間」ということで、精神科医、名越康文先生が心のケア、私が体のケアなどについて、解説しました。
私は、避難所での健康の問題、被災地での医療の実態、献血量が足りていること、計画停電の際の各医療機関の対応など、MCからの質問に答える形で番組は進んでいきました。

2011年3月17日木曜日

大震災のこと(ザ・ゴールデンアワー)

大震災に関する正しい情報、対処法、都民からの質問を受けるため、東京メトロポリタンテレビジョン、The World Standard TV, ザ・ゴールデンアワーに、連日出演しています。以下に番組でお話したメッセージを示します。
●(放射能の問題)震災から一週間が経ちましたが、振り返ってみると、原発の問題が最も国民を不安にさせました。放射能は、目に見えないし、通常は、被曝しても、体で熱いとか痛いとか感じないし、どこの人が何をどうしたらいいか、どう生活したらいいのか、当惑されたことと思います。
また、原発からの煙や、建物が崩れたりするリアルな衝撃的な映像が、連日、テレビを通じて目に入ってくることも驚愕されたことでしょう。放射能の正しい知識、より具体的な対処法は、テレビ・新聞から入ってきましたが、むしろ、このような国にとっての最重要な指導は、政府から直接、国民に丁寧に指導してほしかったように感じます。とくに、3月15日、火曜日、瞬間でありますが、高濃度の放射能(400ミリシーベルト)が記録された時は、その後の具体的で詳細な生活法の指導があってもよかったように思います。
●(情報の氾濫)
様々な情報が氾濫しています。情報のでてくるところが信頼できるものなのかの見極めが肝要です。
①放射線被曝を避けるため、こんぶをたべる、うがい薬を飲む、消毒薬を飲む→全くあやまった情報、危険です。
②物を買い占める→気持ちは理解できますが、長期視野で理にかなっていません。
③ぎえん金詐欺など→情報がでてくるところが信頼できるかどうかの判断が大切。
●(心の傷、喪失感)
今回の大震災で、失ったものは、家族・友だち、家屋・財産、故郷など、様々です。仮にこれらの一つだけでも失うだけで、強いストレスとなり人間は苦悩に陥ります。今回の大震災では、一つではなく、同時にいくつもの大事なものを重なって失ってしまったかと思うと、今までに経験したことのない計り知れない大きなストレスを受けたことになります。大人は、『心の傷』を言葉などで表現できますが、お子さんは、上手に表現できないため、突然の腹痛、頭痛、吐き気などの症状を起こします。被災地では、このようなお子さんがたくさん出てきています。大人から、子供への、会話、声かけ、密なコミュニケーションが必要です。
●(日本人としての誇り・プライド)
こんな災害の中、海外では、日本の品格、礼儀正しさが、とても称賛されています。特に、米国紙、中国紙が報じています。多少の不道徳な人はいますが、物の奪い合い、けんか、パニック騒動などはほとんど耳にしません。被災地でも整然と列をつくって、物資配給を受けている姿は、日本人の国民性、がまん強さ、品格を世界に示しました。

2011年3月15日火曜日

大震災のこと(日本テレビ、DON!、私のコメント)

本日、日本テレビ、DONにて、大震災の医療面に関してスタジオ出演しました。放送直前に、強い放射能が拡散された情報が入りました。
●放射能の拡散について?
一連の原子力発電所からの放射能の拡散の情報ですが、昨日夜(午後9時37分)に1時間あたり3.1ミリシーベルト、そして、本日での情報では、400ミリシーベルトとの報告です。人が通常の環境で、1年間に受けるのが2.4ミリシーベルトであることや、白血球の減少などを生じる放射能が、250ミリシーベルトであることを考えると、大変、強い放射能が拡散されていることは事実です。健康に影響を生じる数値ですが、あくまで、原子力発電所付近での計測値ですし、また瞬時の計測値ですので、今後の評価が待たれます。
●我々は、何をどうしたらいいのか?
以下は、現時点では、屋内退避の指示が出ている原発周囲20~30kmの方々が行うことで、それ以外の人たちが、今すぐ行うことではありませんが、知識として知っておいた方がいいことは以下の通りです。今後、放射性物質がさらに強く広く検出されるようなら、 
(1)自宅などの建物から外にでない。
(2)外の空気が入らないように、ドアと窓をしめる。換気扇も使わない。
(3)外出時は、ぬれタオルで、鼻や口をおおうことも意味がある。皮膚は露出させない。
(4)また、外から建物の中に入る際には、汚染された心配のある衣類を、家に入る前に脱いで、ビニール袋にいれて、袋の口を縛るなどの配慮が必要です。
しかし、上記は、すべての国内の方々が今すぐすべきということではなく、今後のために、知識として知っておいてほしいことです。
●その他
その他、、震災後72時間以上が経過しているので、生命維持のための水分、塩分の重要性や、また、被災地のみならず、国民全体が、強いストレスに暴露されていて、心的外傷後ストレス障害の可能性もあること、避難場所での健康管理などについてもコメントしました。
●ともわれ、最も肝心な放射能漏れを日本のみならず、世界の技術を駆使して止めることが重要です。

2011年3月14日月曜日

大震災のこと(ニッポン放送、私のコメント)

今朝、ニッポン放送、高嶋ひでたけのあさラジ!にて、大震災における医療面に対してコメントしました。
●生存のひとつのポイントは72時間といわれてますが、その理由は?
人は、72時間以上、どこかに閉じ込められて、水などを飲むことができなくなると、死亡率が急激に高まると報告されています。救援物資の中でも、水分と塩分は、命を助けるために、最も大切です。現場は、混乱しているとは思いますが、迅速な、水と塩の配給、そして、閉じ込められている人の救出が、求められています。
●避難した方々は、心も体も疲れています、そういった方が、今、気をつけるべきことは何でしょうか?
大震災を直接、経験して、なんとか、命の危険をまぬがれたものの、心に加えられた衝撃的な傷が原因で、さまざまな、ストレス障害を引き起こす人もかなり多いと考えられます。具体的には、精神的に不安定になり、不安が強くでたり、眠れなくなったりすることです。現在余震が続いていますので、そのことも、気持ちの不安定さや、不安を、さらに深めてしまいます。とくに、子供の場合には、地震などに対する経験がないため、はっきりと原因がわからない、お腹の痛み、頭の痛み、吐き気、悪夢などが繰り返されることも多いのです。
対策としては、まずは、睡眠や、休養をよくとることです。家族、友人、職場で、互いに、相手の心の変化、体調の変化に気をつけあうことが、とても大切です。
●福島第1原子力発電所の周辺から避難した人で、被爆した方々の情報が入っています。除染(おせんをとりのぞく)という治療をするようですが、具体的にはどういった治療方法なんでしょうか?
除染という治療は、被爆した可能性のある人に対して、まずは、体の表面の汚染状態、被爆程度を調べます。そして、必要な人には、少しでも早めに、放射性物質を洗い流す、という治療を行います。具体的には、汚染されている衣類などを脱いでもらい、シャワーなどで、石鹸をつかって、全身(髪の毛も)を洗い流すことです。また、汚染の程度が高い場合には、体をあらった後に生じる廃液の管理が問題になりますので、ぬれタオルなどで拭き取る場合もあります。
●放射性物質から身を守るための注意点は何でしょうか?
今後、放射性物質がさらに強く検出されるようなら、なるべく、自宅などの建物から外にでない。そとの空気が入らないように、ドアと窓をしめる。換気扇も使わないということがポイントです。外出の時には、鼻や口、傷口から、体の中に入ってくる、内部被ばくというものにも注意が必要です。ぬれタオルで、鼻や口をおおうことも意味があります。なるべく、皮膚はださない服装で、外から家の中に入る際には、汚染された心配のある衣類を、家に入る前に脱いで、ビニール袋にいれて、袋の口を縛るなどの配慮が必要です。

2011年3月11日金曜日

スイッチOTC?


今朝のテレビ朝日、スーパーモーニングで、スイッチOTCについてコメントしました。
●スイッチOTCとは
これまでは医師の診察の後、医師の処方でしか使用できなかった医薬品を、薬局で買えるようにしたのがスイッチOTC薬です。「Over The Counter」の略で、街の薬局のカウンター越しに売られる薬のことを意味します。たとえば鎮痛剤である、ロキソニンSが現在、爆発的に売れているようです。
●スイッチOTCが広がるわけ
従来の大衆薬より効き目のある医薬品を薬局等で入手できるようになるというメリットがあります。医師不足の状態の病院で何時間も診察を待って、処方をしてもらわなければならないという時間的な手間も省けることに人気があります。さらに、スイッチOTCは、保険診療ではなく、自分のお金のみで薬を買うことになりますので、国にとっては、医療費の削減につながります。また、医師にかかって、初診料か再診料、処方箋料、薬代として、全費用の自己負担3割を支払う額よりは、OTCの価格の方が概して安い設定になっています。
●スイッチOTCを使う時の注意
従来の大衆薬よりも、効果が強い代わりに副作用はやや強いことは事実ですので、安全性を確保する為には、適正に使用(服用)してもらう必要があります。
また、服用しても症状の改善が認められない場合には、何らかの想定外の病気が隠されていることもありますので、病院に行かなければなりません

2011年3月9日水曜日

ベイエフエムで、医薬品副作用報告システムについて解説

本朝、bayfm「POWER BAY MORNING」のデリナビで、医薬品副作用報告システムについて解説しました。まだ、あまり知られていないシステムだと思いますが、アメリカなどではもう確立されているシステムです。

●厚生労働省が、今年から試験運用を始めた「医薬品副作用報告システム」とは?
薬には、医者が処方したもの、それからドラッグストアーで買った市販薬などあります。そのいずれでも、様々な、副作用がでることがあります。今回の、「医薬品副作用報告システム」とは、患者さん本人が、ホームページから、その副作用の状態を直接、厚生労働省に報告するシステムです。今までは、患者さんに副作用が生じると、医者に診てもらい、そして、医療機関や、薬の製造販売業者を通じて、厚生労働書への報告されることが、通常の流れで、こうした、患者さんからの直接の情報を、国が集めるシステムはなかったんです。気軽に報告できることで、今まで見過ごされてきた細かい副作用被害も厚労省に伝えることができ、国内での薬の使用がより正しく行われ、安全性を高めるという意味では、画期的です。今年、1月から7月まで、試験的に運用して、8月以降は、情報を分析し、今後のシステム構築へ。年内にも正式なシステムの運用開始を目指すようです。http://rx.di-research.jp/
●このようなシステムが必要とされる背景にはどのようなことが考えられるのでしょうか?
これまで、薬の副作用は、よほど重篤なもの以外は、患者さんも医者も、時間や手間を考えて、報告しないでいたという背景があります。さらに、医者不足により、患者さんとのコミュニケーションをとる診療時間自体が短くなって副作用が出ても、そのまま軽快していくものであれば、問題にされないことが多かったんです。また、医者から処方されたものなどは、直接、医者に言いづらいという場合もあるようです。
●正式な運用に向けての問題点は?
連絡をうけた厚労省がどのような形で、どの程度調査できるのか。また、薬と、その副作用らしき症状との因果関係を、正確に把握できるかどうかも、不明瞭。特に複数のお薬を飲んでいる方は、どの薬の副作用かを判断するのは難しいとも言われています。