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1963年東京都生まれ。88年秋田大学医学部卒業。95年東京大学大学院医学系研究科卒業。96年東京大学医学部附属病院助手を務め、97年ハーバード大学医学部専任講師。2000年埼玉県立がんセンター医長。04年板橋中央総合病院部長。現在は、現役医師、医療ジャーナリストとして、テレビ、雑誌等のメディアで活動中。さまざまな病気の概説や、医療に関する種々の問題に取り組む。

2016年10月16日日曜日

豊洲問題 気化した水銀の健康に及ぼす影響

  豊洲に関する報道で、空気中に気化された水銀が指針値を超えたとのこと。報道では、水銀は、指針値の1立方メートルあたり0.04マイクログラムに対し、2施設で1立方メートルあたり0.044~0.28マイクログラムを検出。最大で指針値の7倍です。指針値は「健康リスクの低減」を目的に国が示す指標で、事業者の排出抑制目標などに用いられます。2003年に環境省の審議会は「短期的に上回っても直ちに健康に悪影響があるものと解するべきではない」と。報道でも「健康に影響が出る数値ではない」、とあります。
 今回、1立方メートルの空間に、最大0.28マイクログラムの検出ですから、直ちに健康に影響が出るものではありませんし、過度に神経質になることはないとは思いますが、以下のような情報があります。
 
 金属水銀の気化(液体が気体に、もしくは、個体が気体になること)は、室温では僅かです。しかし、水銀量が多い、加熱、換気の不良等の悪条件の下では、水銀蒸気が高濃度になることが考えられる。気中濃度が1立方メートルあたり1ミリグラム(1マイクログラムの1000倍)を超えると1ヵ月以内に下痢、口内炎、蛋白尿等の症状が出現し、1立方メートルあたり、10ミリグラムを超えると1ヵ月以内に下痢、肺炎、腎障害等が出現するとされる。1立方メートルあたり1ミリグラムとは、現在の検出濃度の3000倍以上にあたりますが、微量でも長い年月吸入した時の影響は否定できません。

以下のURLに水銀体温計を壊した場合の日本中毒情報センターの水銀蒸気の症状等がよりわかりやすいです。