(一般的なこと)
今年、ノロウィルスによる感染性胃腸炎が猛威を振るっています。ノロウィルスには、様々なタイプがありますが、基本的には一度かかったタイプにはかかりにくいと考えれています。今シーズン流行している型の1つに、「GII.2型」というウイルスがあり、これは、ここ2年~3年、ほとんど検出されていなかったために、免疫を持つ子どもは、少なく、小児で相次いで感染していますとの報道もあります。そのほか、北里大学の研究者などのグループが、11月までに流行したノロウイルスの大半で、ヒトへの感染力に関わる部分が、変異していることもわかりました。変異したウイルスは、ほとんどの人が、免疫を持っていないため、大流行となりつつあるのです。ノロウイルスは2、3日ほどの潜伏期間を経てから発症します。吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、発熱などの症状が1、2日続いた後、自然に回復に向かうことがほとんどですが、高齢者や小さいお子さんの場合は、ひどい下痢から脱水をおこし、入院が必要になることもあります。ただし、以下の三つの場合に、間接的に命を奪うことがあります。
→①嘔吐物が気管に入り、窒息する。
→②嘔吐物が気管から肺に入り、誤嚥性肺炎を起こす
→③下痢、嘔吐がひどく、脱水になる。
① の場合には、
背部叩打法(気管に嘔吐物を詰まらせた人を立つか座らせた姿勢でうつむかせ、後方から手のひら基部=首に近い部分で左右の肩甲骨の中間あたりを力強く何度も連続して叩く。お餅を喉につまらせた時と同様)。嘔吐物が、気管に入ってしまった場合、咳ごむので、しっかり咳をして、口から出す。
乳児(1歳未満)の場合には、片腕に乳児をうつぶせに乗せ、手のひらで顔を支えつつ頭を体より低くして、もう片方の手のひら基部で背中の真ん中を数回強く叩く。
③ の場合には、入院して点滴治療を受ける。
(感染経路)
札幌市のHPの図がわかりやすいです。http://www.city.sapporo.jp/hokenjo/shoku/chudoku/norovirus.html
人の小腸で増殖したノロウイルスは、便とともに下水処理場から河川に放流されます。しかし、このウイルスは、下水処理場の消毒に使う通常の塩素濃度では死滅せず、感染力を保ったまま海水中を漂い、牡蠣などの二枚貝を通じて再び人に悪さをします。
この図をみてわかるように
① 食べ物からの感染
ノロウイルスに汚染された食べ物を、生食や加熱が不十分な状態で食べて感染。過去のノロウイルス食中毒の調査結果を見ると、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7 割では原因食品が特定できていません。生ものの美味しい季節、生ものをすべて加熱して食べろというのはナンセンスだと思います。体が弱っているとき、疲れているときは控えるようにすることが大切だと思います。
ノロウイルスに汚染された食べ物を、生食や加熱が不十分な状態で食べて感染。過去のノロウイルス食中毒の調査結果を見ると、食品から直接ウイルスを検出することは難しく、食中毒事例のうちでも約7 割では原因食品が特定できていません。生ものの美味しい季節、生ものをすべて加熱して食べろというのはナンセンスだと思います。体が弱っているとき、疲れているときは控えるようにすることが大切だと思います。
② 手からの感染
感染者の便や嘔吐物、ノロウイルスに汚染されたドアノブやトイレなどに触れた手を伝って、手からノロウイルスが体内に入って感染。ノロウイルスに汚染された食べ物を食べたり、ノロウイルスが付着したものに触れたりして、手から体内に入って感染する。
③
空気感染
感染者の便や嘔吐物から空気中に飛び散ったノロウイルスを吸入し感染。
感染者の便や嘔吐物から空気中に飛び散ったノロウイルスを吸入し感染。
(対策)
①
健康管理に気をつけるノロウイルスは身体の抵抗力が弱いとかかりやすいそう。体調が悪いときは、生ものは避け、食品は中心部が85~90℃で、90秒以上しっかり加熱したものを食べるように。特に子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要です。
② 調理器具の除菌
調理をする人や、食品からの二次汚染を防ぐためにも、調理器具の除菌はもちろん、調理の前にはしっかり手洗いを。またお腹の調子が悪い時には、調理に関わることは避けてほしいです。高級レストランでも、仮に調理に関わる人が感染していれば、仕入れの食材に全く問題なくてもこの感染症は起こりえます。
③ 外出から帰ったときや、食事の前は必ず手を洗う
手を洗うときは、指輪などアクセサリーは外し、せっけんはしっかり泡立て、指もていねいに洗浄することが大事。また、洗ったあとは、清潔なタオルやペーパータオルで拭くのがおすすめ。感染リスクを減らすためにも、感染者がいるとき、タオルは家族間でも共有しないほうがいい。
④トイレや調理器具の除菌
便や嘔吐物に含まれるノロウイルスから感染する場合があるので、感染者が出た場合、便座や便器はもちろん、トイレのドアノブや床、壁などもしっかり除菌をしましょう。
⑤ トイレの蓋を閉じて、水を流す。
米国、リーズ大学のMark Wilcox教授らの調査により、用を足した後に、トイレのふたを閉めないで水を流すと、便の中のノロウイルスなどの微生物が空中に拡散し、感染する可能性が高くなると。最大飛距離26cm、滞空時間90分です。高級レストランでも、仮にお客さんの一人がノロウィルス感染症で、排便時にトイレの空気が衣類について他のお客さんに感染することもあり得ます。
⑥汚物は適切な処理を
感染者が出た場合、嘔吐物や便などの汚物をきちんと処理することが、二次感染予防に重要です。ノロウィルスは、乾燥すると空中に漂うとため、嘔吐物や便は乾燥しないうちに早く処理することが感染拡大を防ぎます。このとき、いかの次亜塩素酸ナトリウムを使用することが効果的です。
特効薬やワクチンはありません。多くの場合は自然に治ります。
➀下痢止めは原則として飲まない
下痢を止めようとして、薬を飲む人もいますが、ウイルスを出してしまったほうがよい場合も多いのです。ただ、下痢が続くことで、脱水を引き起こす可能性も。 脱水予防のために、水分はしっかり摂りましょう。水が飲めないときは、医療機関で点滴を。
➁安静にし、誤嚥に注意する
ノロウイルスに感染したら、安静に回復を待つとともに、むせないように気をつけることも大切。